アートと政治の交差点〜The Intersection between Art and Politics

政治、経済、世の中のもろもろな事をアートとともに読み解きます。

立場主義という日本の病巣~ジャパン イズ バック~安倍政権にみる近代日本「立場主義」の矛盾ー安冨 歩著

参院選、都知事選と、この一か月選挙まつりでツイッターやFB、SNS上もかなり荒れ荒れの状態ですね。とくに自分の支持候補以外の対抗候補についての誹謗中傷は目に余るものがあります。

それでもまだ、自分の立ち位置を表明して、反対候補の批判をかたるのは、ましなんですが、いかにも文化人、知識人というアウトサイダーできな立場から、上から目線で、自分が合わない人(多くは反体制主張側)の人格批判を繰り返す輩が多いこと。そして、それに対して批判コメントをつけると粘着的に相手の人格批判を始める。本当に醜いです。

アメリカでは大統領候補選で、トランプが右、サンダースがリベラルという議論の軸がありましたが、日本では、何が保守で、何がリベラルなのか、なにがなんだかわからんない状況になっています。

例えば、現政権は一般的に右の右といわれ、支持層の多くは本来 保守なわけですが、政権自体のやってることは米従属の政策です。僕の理解では、本来 保守は「日本を取り戻す」などのスローガンよろしく、日米地位協定だとか、沖縄問題について積極的に取りくみ日本を取り戻すべきだと思うのですが、実際は、そうではありません。あれだけ日の丸ふって秋葉原自民党を応援する支持者の方々はなんで、沖縄に加勢に行かないんでしょうか。反韓、反中でなぜ反米にならないの?日本どうやって取り戻すの?誰から?

そして、そういう彼らにとっては、内容のいいも悪いも、考え方が保守思想だろうが、リベラルだろうが、結局、体制批判は全部 邪悪なサヨクというまったくわからない状況です。

もう日本の保守層ってなんだ・・・・

で、その謎を理解するために「ひざ ポン!」の本を読みました。

東大教授で経済学者の安富歩先生著のジャパン イズ バック~安倍政権にみる近代日本「立場主義」の矛盾 です。

この本で安冨先生は、現代社会の病巣は、立場主義である~自分の役割のみならず、世間体や体裁、組織、コミュニティにおいてのポジションを第一と考え、死守する。そして、その領域は不可侵であると信じているものたち。

保守とかリベラルでくくれる感じでは、ないんですね。

よく組織論でコンフォートブルゾーンという言葉を使います。すなわち、自分を勝手に自己定義して、自分に関係がないと思う領域に対して決して足を踏み込まない人々。例えばミーティングは参加しているだけ、評論はするけど、行動はおこさないなどなど。こういう人たちを鼓舞するのに「コンフォートブルゾーンを出よ」といいます。

一方で一方的に相手を論破し、自己満足で会議を終えるタイプの人もいます。そういう人の特徴は、違う視点を指摘したときに、全くもって話をきかない。とにかく自分の領域に踏み込まれるのが嫌。踏み込んでくる人は大キライ。

あなたの周りにもいませんか?

いくつか、思い当たる経験があります。

息子が小学校のときに、不条理に教師からズルをうたがわせたことがあります。(大人びた随筆調の作文を書いたので親に手伝ってもらったではないかと疑われた)

その教師はベテラン教師で議論のなかで「教師も自分のまちがいを肯定しながら、子供と接するべきではないかといった」とき、「教師は自己否定なんかしません」ときっぱりいわれてしまいました。

その時は、この人 頭おかしいのではないかと思いましたが、実は、この人にとっては教師は決して生徒の前では間違えないという勝手な価値観で自分のエリアを守っていたんだなあと、今になって思います。

今、沖縄の高江で、ヘリパッド建築に反対する市民と機動隊が衝突して大変なことになっています。TBSのニュースで、市民が機動隊に殴られて排除させる映像を見て吐き気を覚えました。

news.tbs.co.jp

米国隷属の右まき政権にとっては、たいへん重要案件であるはずなのに、当の閣下は、富士五湖で、温泉、焼き肉、ゴルフとたんへん呑気なものです。(7/21 首相動静より)

要は、この人たちに保守とか、リベラルとか、自分のイデオロギーなんてないんだなと思ってしまいます。自分の価値に合わないものは興味なし。

結局 多くの政治家は、自分の立場をここちよくする環境づくりに邁進している。そして、我々はそんな彼らを税金で喰わせてあげているのです。

これは与党、野党関係なく、その政治家個々の立ち位置の問題だと思います。そして制度的には党議拘束ありの政党政治なるものがあるかぎり続きます。

残念ながら、こういった病巣が社会の根底にある国は、真綿で首を絞められるように、滅んでいくんでしょうね。

成長しない経済、所得格差、少子化学力低下放射能含む環境汚染、多様性の破壊。

100年後、日本ってあるんでしたっけ?

そして人々は、「自分は精一杯やるべきことをやってたいたから仕方ない」と自己満足と責任転嫁をかかえながら。。。

10年、20年前の日本ってこんなんだったけなあ

「イッポンをトレモロす」

安冨先生の本 おすすめです。

 

今日のアーチストを紹介します。Marcus Miller feat. Lalah Hathaway " Someday we'll be  all free"

www.youtube.com